日本ホラーの原点と鶴田法男監督の演出について語る。

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リングや呪怨、学校の怪談や着信アリなど日本発のホラーは実は海外ホラーと違った独自のカテゴリーを形成している。エクソシストやフランケンシュタインなど海外ホラーと比べると日本のホラーは観客を当事者にした巧みな演出を多く見ることができる。今回はそんなジャパニーズ・ホラーの原点について紹介してみます。

日本のホラー映画はよく映画業界ではジャパニーズ・ホラーの略としてJホラーと呼ばれています。日本映画独特の世界観で生み出された恐怖演出が特徴で世界でも評価されているジャンルの一つなのです。

 

一口にJホラー映画といっても、ジャンルとして一般的な認識をされるようになったのは、1998年に公開された「リング」があるでしょう。

この映画リングは原作鈴木光司、監督中田秀夫でおくる一大ヒット作となりました。この映画版リング以外にもリングの映像作品はそれまでに何度かありましたが、劇場版リングはその当時、社会現象を巻き起こすほどの作品となりました。それは劇中の表現の一つにある、髪の長い顔の見えない女、当時普及していたVHSビデオテープによるビデオ媒体を呪いの道具として使うその描写力でした。

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リングを観ることで誰もが身近に劇中の怨霊によって呪い殺されてしまうかもしれないといった恐怖を具現化した存在として描かれていました。

どういった怖がらせ方をするのか?それを常に考えて行く先にホラー映画は存在する。そういった中で日本独自に進化した呪いなどのホラー描写は世界的に見ても非常に新しかったのです。

呪いの描写が身近に感じられるというのも日本人ならではでしょう。

 

この流れの中には文化的に怪談話や幽霊話が日本人の根底に存在しているのだと思います。代表的なものは「東海道四谷怪談」「牡丹燈篭」「番町皿屋敷」「怪談」などと言った歌舞伎や浄瑠璃、落語の演目として庶民に親しまれてきたからだと言えるでしょう。

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映画リングにおけるそのヒットの源流を探ることで劇場版リングは現代における怪談話の金字塔となったのかもしれません。

 

リング以前にJホラーは存在した。

 

もちろん、リング以前にJホラー映画は存在しました。ホラー描写としてどういった怖がらせ方をするのか?といった非常に技術的に高度な表現を開発した源流の作品があったからです。

つまり広く一般に認知されていなくともその技術が使われてJホラーとして返り咲いた作品があるならば紛れもなくそれはリング以前にJホラーが存在したと言って過言ではなく、その源流にある作品こそがJホラー映画として評価される必要のある作品だとも言えるわけです。

その作品は実際は映画ではなかったのですが。

1991年にオリジナルビデオで発売されたほんとにあった怖い話シリーズにある「霊のうごめく家」でした。

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この霊のうごめく家で何が新しかったのかといえば映像中の演出である幽霊らしい存在を逆に徹底的に省いてしまい、ある家の、そこにある空間を映し出すことによってそこがすでに恐怖として成り立たせるという表現方法でした。恐怖はどこにでもそんざいするという非常に怖い描写です。

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 現在では主流となっているこの表現方法も当時は新しい試みでした。

 

劇場版リング以外にもこの作品の影響を受けた作品は数知れず同じ中田秀夫監督の「女優霊」や、海外でも評価の高い映画監督黒沢清監督の「回路」など、その後に続くJホラー映画の流れを文字通り変えてしまいました。

具体的に回路においては「霊のうごめく家」で演出した監督によるオリジナルビデオ作品の「夏の体育館」で表現した赤いワンピースを着た女の幽霊と酷似するシーンがあります。

それらの作品を演出し監督したのは今でも第一線で活躍する鶴田法男監督でした。

鶴田法男監督は劇場版「リング」の後のシリーズ作品である「リング0バースデイ」を監督しています。

 

Jホラー映画の元祖が生み出したさらなる可能性

 

2012年に公開された「POV呪われたフィルム」、この作品はPOVと呼ばれる撮影手法をほぼ全編にわたり使用して撮影されています。

 

 

POVとはpoint of viewの略語で、一人称視点で撮影された映像の事を言います。

この撮影手法を取り入れた海外の代表的ホラー映画として「ブレアウィッチプロジェクト」やジョージ・A・ロメロ監督の「ダイアリーオブザデッド」、スペイン映画で大ヒットした「REC」などがあります。

POV撮影を作品に大胆に取り入れることで観客がその現場にいるようなドキュメンタリーでみられる臨場感が前面に押し出され観客もその登場人物と一体となる事が出来るのです。

そういった技術的手法をドキュメンタリーに偏らずそう見せることによって登場人物と一緒に怖さを追体験する日本独自のJホラー映画が「POV~呪われたフィルム~」でした。

Jホラー映画はフィクションを撮影する最たるものの一つだと思います。ドキュメンタリー手法に用いられる撮影手法を使ってその中であえて脚本を書き、POV撮影を取り入れて怖さを表現することを行った作品でしかも、Jホラー映画作品の元祖を生み出した鶴田監督の功績は非常に大きいのだと思います。

POVという演出が作品の名前になるほどなので、そういった意味を含んでこの作品を見てみると違った見方でホラー映画を観ることができるのではないでしょうか。

 

   

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